【社内SEが実際に使って】RPAはクラウド型とデスクトップ型とサーバー型、どれを導入するのがおすすめか(比較・特徴紹介)

2021年6月11日

■昨今業務の自動化・効率化がよく話題になります。
オフィス業務の自動化というと、だいたい行き着くのがRPAの導入です。

RPAはパソコン上の作業を自動化するツールで、比較的安価で簡単に導入できるため、
大手企業を中心に導入がどんどんと進んでいます。

さて、そんなRPAですが、
いざ導入しようとするとぶち当たる問題があります。

クラウド型、デスクトップ型、サーバー型
どのタイプのRPAがよいのか、という問題です。

RPAは上記3つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。
どれが優れているというより、それぞれのメリット・デメリットがあるため、
自身の業務に合わせて導入を考える必要があります。

今回は、私が実際に業務でそれぞれのタイプを触っているため、
それぞれのタイプごとの特徴とおすすめを書いていきます。

一応私がどんな業界でどんな使い方をしているかを目安に書いておくと、
広告代理店で働いており、主に情報収集や定型作業の自動化で使っています。
IT企業の方は特に参考になるかと思います。




■クラウド型RPA
クラウド型の特徴は、ブラウザでする作業の自動化に特化している点です。
結論、こちらのRPAタイプが1番おすすめです。理由は下記で述べていきます。


●簡単に言ってしまえば、ChromeやIEといったブラウザ内で普段作業していることが自動化の対象です。
ですので、ネットブラウジングやGmail、スプレッドシート、Twitter、SlackやAmazonといった、
ネットサービス関係の作業を何か自動化をしたいというときに向いています。

例えば、関係サイトのニュースリリースを定期的に取得したり、
スプレッドシートの定期更新をしたり、
Slackなどチャットツールに通知を飛ばしたり、
ECサイトの在庫数の自動取得といったことに使えます。

また、バックグラウンドで稼働させることができるため、
パソコンを起動していないときにも特定作業の自動対応ができますし、
自身がパソコン上で他の作業をしている際に、同時に裏側で何かの作業の自動化を走らせることができます。


●逆に、できない作業としては、デスクトップ上のローカル作業の自動化ができません。
例えば、デスクトップにあるフォルダーにファイルを格納するだとか、
EXCELファイルを更新するだとか、
パソコンにインストールされている特定のソフトを動かすなど、ができません。

ただ、RPAを導入しようとする企業に多い傾向かと思いますが、
最近はGoogleのサービスなどを利用してブラウザ・クラウド上に業務環境がある方が多いです。

スケジュールをセールスフォースで管理し、連絡はSlackでチャットを飛ばし、
あるいはGmailを使い、スプレッドシートでデータ集計をおこない、
Google DriveやDropboxにファイルを格納する、、、というような。

現在そのように業務環境がネット上に置かれていることが多いのと、
その傾向が今後もどんどん強くなっていくだろうことを考えると、
クラウド型のRPA導入が現在も今後も良いと考えられます。


●クラウド型のRPAで有名なところとしては、
cobitRobotic CrowdUiPathPower Automateがあります。

この中でUiPathは無料で使えるのですが、
無料で使える条件が中小企業であることなど制限があるのと、
初心者には少し使いにくい画面となっています(それでも使いやすいほうですが。。。)。

Power AutomateはMicrosoftのRPAで、
こちらもライセンスの状況などにより無料で使えるのですが、
デスクトップ型の「Power Automate Desktop」に比べると操作性に難があるため、
慣れていない方には微妙です。

直感的な操作性や初心者で誰でも使えるという点を考えると、
cobitやRobotic Crowdの検討のほうがよいかと思います。
こちらの2つは有料ツールではありますが、
有料と言ってもさほど高い金額では無いため、気軽に導入を検討できると思います。
また、困ったときに気軽にできるチャットサポートを備えている点もかなりのメリットです。

トライアルも基本的にはしてくれるはずなため、
まずはトライアルで触ってみるのが良いでしょう。



■デスクトップ型RPA
デスクトップ型の特徴は、自身のパソコンでする作業全般の自動化に向いている点です。


●クラウド型ではブラウザ上の自動化しかできませんでしたが、
デスクトップ型はパソコンで作業することすべての自動化ができます。

たとえば、
デスクトップに置いてあるファイルを開いて中身を更新し、
それをGmailで送る・ドライブに格納する、
パソコンにインストールされている管理会計ソフトを開いて更新作業をする、
更新作業が終わったら、それを関係者にチャットで通知する、
といったことができます。

ブラウザとデスクトップを言ったり来たりしながら作業をする、
ということが多い業務・ユーザーに向いているRPAです。


●ただし、デメリットも多いです。

・まずひとつ目が、デスクトップ型RPAを動かしている間は、
ほかのPC作業ができないことです。
つまり、RPAにパソコンを占有されることになります。

デスクトップ型がどんなRPAかというと、
言わばそのパソコンのマウスやキーボードを乗っ取り、
システムが勝手にそれを動かす、と言った形です。
そのため、RPAが動かしている間は他の作業ができず、
人間はコーヒータイムをするしかありません(それもまた手ではありますが。。。)

また、RPAが動いているときに下手にマウスやキーボードを触ると、
本来RPAがやりたかった作業を邪魔してしまう形になり、
正しく作業が完了しなくなるおそれもあります。
そのため、一度RPAが動いたら、その作業が完了するまで、
一切合切パソコンには触れることができません。

そのため、デスクトップ型のRPAを導入する場合、
RPAを動かすためだけの専用PCを用意する、という企業の対応もわりと多いです。


・2つ目にこれは上記と重なる部分があるのですが、
RPAを動かしている間は、パソコンを起動させたままである必要があります。

パソコンがスリープやシャットダウンしてしまうと、
そのまま作業が中断してしまいます。

そのため、例えば人間がパソコンを触っていない間に作業をさせようとする場合、
あらかじめパソコンを起動させっぱなしにしておく必要があります。
また、パソコンがスリープしたりしないようにしておく必要もあります。
結構センシティブなのです。。。


・3つ目にこれも上記と似たところがあるのですが、
画面サイズが変わったり、選択する箇所の位置が変わったり、突然PCの更新がかかるなど、
想定していない状況になったとき非常に弱いです。

デスクトップ型RPAがどのように「このファイルをクリックする」
というふうに認識しているかというと、
「パソコンの画面のこの位置(座標)の部分をクリックする」
というような形で認識しています。

そのため、たとえば本来デスクトップの右上に存在していたファイルが、
突然別の場所に移動していたりすると、そのファイルを選択するというアクションができず、
作業が途中でエラーしてしまうことがあります。

また、画面の大きさが変わると、
それだけで座標の位置がまったく変わってしまうため、
やはり正常な動作ができなくなるおそれがあります。

最近では単純な座標認識ではなく、
ファイル名を指定して実行など柔軟な対応ができるようになってきていますが、
それでも基本は座標指定をメインとするため、
非対応のアプリケーションなどではこの「イレギュラーに弱い」問題はつきまといます。


●デスクトップ型はデメリットも多いですが、
しかしブラウザとデスクトップを行き来し、
パソコン上のすべての作業を自動化できるという強みもやはりあります。

デメリットの部分も、専用パソコンを導入するなどすれば打ち消せるため、
どのような業務を自動化するかによって導入を要検討となります。


●デスクトップ型で有名なものとしては、
WinActorやipaS、Power Automate Desktopがあげられます。

初心者や普段RPAを使い慣れていない方が多い場合、
サポートを重視したいので有料ですがWinActorやipaSの検討が良いでしょう。

一方で、普段からパソコンのツールなどを触って、
なんとなくパソコン作業にこなれている方であれば、
MicrosoftのPower Automate Desktopがおすすめです。

Windows10以降のユーザーならば無料で使え、
さらにMicrosoft公式のツールのため、
非常にWindows PCでの自動化と親和性が高いです。

Microsoftならではの、WindowsやOfficeの自動化アクション項目が豊富なため、
正直デスクトップ型はこれ一択といってもいいぐらいかもしれません。
これを無料で出されたのは、デスクトップ型のRPAを出しているメーカーにはかなり痛手だったと思います。




■サーバー型RPA
サーバー型の特徴は、自社システムに特化した自動化ができ、セキュリティに強い点です。

最後に、サーバー型RPAの紹介なのですが、こちらの紹介は短いです。
というのも、正直こちらを選ぶメリットはあまり無く。。。

サーバー型のRPAというのは、言ってしまえばオールドなRPAなのです。
昔はRPAといえば、自社にサーバーを立てて、
その専用のRPAで自動化をおこなうということでしたが、
サーバーの導入に時間もコストもかかるため、
かなり大規模なものでした。

昨今では技術やハードの進化により、
クラウド型やデスクトップ型のRPAが出てきているため、
正直下火なタイプです。


一方で、現在でも導入するメリットもあります。
例えば、自社独自の社内システムをガチガチに組んでいる場合
自社向けにサーバーを立ててRPA導入してしまったほうがよいということがあります。

また、自社サーバーを立てるため、
セキュリティに強いという面もあります。

ただ、やはり導入に時間がかかり、コストもかかるため、
このタイプが選ばれることは少なくなってきているかと思います。



■以上、クラウド型、デスクトップ型、サーバー型それぞれのRPAについてのご紹介でした。

基本的にはクラウド型かデスクトップ型かで選んでいく形かと思いますが、
最近の主流はやはりクラウド型かと思います。
コストも安いですし。

各社無料トライアルを設けているかと思いますので、
まずはトライアルで試してみるのがよいでしょう。