【コラム】米国株投資で半導体(TSM、AMD、NVDA)への投資は「待った」を掛けた方が良い理由
■昨今は半導体の不足が取り沙汰され、
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)や、
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、NVIDIA(NVDA)、
といった半導体企業の株価は上がり続けています。
PC・スマートフォン需要や自動車の自動運転、AI技術の発展・導入などにより、
半導体の需要は今後も伸び続けていくでしょう。
そうなると、やはり半導体企業の株価が今後も上がっていくだろうことは十分予測できます。
しかし、一方で半導体企業の株購入は、
半導体という高技術なものゆえのリスクもあわせ持っています。
下記ではそのリスクについて触れていきます。
■半導体企業が持つリスク、それも最大のリスクとは、
半導体というものが物理的に製造しなければならないものだという点です。
半導体を作るためには、当たり前ですが生産する工場が必要です。
しかも、半導体というのは精密の極みのような製品ですから、
高度な製造機械が導入された工場である必要があります。
それは、何かがきっかけで工場での生産ができなくなったとき、
替えがきかず、生産能力が著しく落ちてしまうということです。
たとえば震災です。
地震や火災などが起きて工場が損害を受ければ、
もちろん工場の生産は止まってしまいます。
しかも、復旧するのにも、高度な製造機械・環境を必要とするため、
復旧にとても長い時間がかかってしまいます。
とくに怖いのは地震のリスクです。
たとえば日本であれば地震の発生が多いため、
ある程度地震への対策というものがなされています。
しかし、地震発生の少ない地域・国では、
十分な地震対策がされておらず、
日本では被害にならないような震度だとしても、
工場倒壊のような大被害になることも珍しくありません。
こうなると、生産能力は著しく下がり、
復旧もなかなかできないため、売上の見込みも立たず、
株価は急落してしまう恐れがあります。
さらに言えば、
生産拠点が分散していない半導体企業はとくに注意が必要です。
たとえばTSMCは、製造拠点が台湾に集中しています。
これは震災で集中被害を受けてしまうということもありますが、
地政学的な問題で、1つの国・地域で問題が起きたとき、
他の問題ない国・地域の拠点で製造をまかなうということができないためです。
最近はTSMCも台湾外での生産拠点を検討しているようですが、
投資を検討する際はこのあたりの動向も追う必要があるでしょう。
■以上、半導体企業へ投資をする際には一度「待った」を掛け、
リスクを理解したうえで投資したほうが良いという説明でした。
今後伸びるという需要の一方で、
やはりリスクというものは合わせて考えなければいけません。
投資検討の際の参考になれば幸いです。